IR キャビネットシミュレーターをよりリアルにする方法

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こんばんは。ギタリストのカールです。

今回のテーマはマルチエフェクターやDAW上で使用されるIR(インパルスレスポンス)キャビネットシミュレーターについてです。

ライン録りでのレコーディングやライン出しのライブなどで近年様々な場面で使用される場面が増えていますね。

そんなIRをよりリアルに聞こえるようにするテクニックを解説していければと思います。

筆者はHELIXをメインに使用していますが、Fractal AudioやKemperなどのハイエンドアンプシミュレーターから最近ではMooerやZOOMなどの低価格でパフォーマンス性の高いマルチエフェクターでも機種によりますがIRキャビが取り込むことができます。

おすすめのIRも紹介していきたいと思っていますので是非最後まで読んでいただければと思います!

それではいってみましょう!

IRをリアルにする方法1:Lowカット、Highカットの活用

1つ目としてLowカットとHighカットの活用を紹介していこうと思います。

今回はLINE6のHELIXをメインに解説していますが他の機種では若干操作性が異なるかもしれませんが用語等は基本しっ所ですので予めご了承ください。

さて上の画像はHELIX内のIRのセッティングのブロックになります。

少し見づらいかもしれませんが上から

  • IRの選択
  • Lowカット
  • Highカット
  • Mix
  • Level

という風になっています。

MixがついているのはリバーブやアコースティックシミュレーターなどのIRに使用した際に必要になってくるからですね。

さて本題であるIRをよりリアルにするための1つ目のポイントはLowカットとHighカットの調節です。

Lowカットでギターに必要ない帯域をカット

まずはLowカットでギターの余分な低域をカットしていきます。

筆者の場合は80Hz(ヘルツ)に設定しています。場合によっては100Hzくらいまでカットすることもあります。

80Hz周辺の帯域はベースの4弦やバスドラムの帯域なので楽曲などのミックスの場合ギターの低い帯域はカットしています。

しかしIRキャビの場合はリアルな分20Hz周辺の低い帯域まで再現されています。

普通に取り込んだだけではボワボワしてうっとうしいですし他の楽器と混ざった時に邪魔なのでバッサリカットしましょう。

Highカットでデジタル臭ささと倍音感を調節

次にHighカットを調節しましょう

こちらもギターで必要な帯域は16kHzくらいまででそれ以上は本来聞こえないくらいの超高音域になります。

しかしIRの場合はデジタル信号ですので20kHzくらいの超高音域も再現しています。そこがどうにもこうにもデジタル臭く感じるのですね。

ミックスであれば9kHzくらいまでがっつりカットすることもよくあるので生アンプ感を残しつつデジタル臭ささを押さえれる帯域までHighカットしてしまいましょう。

倍音の出方に関してもHighカットが関係していますので太さを出すのであれば16kHzよりも低くしてもいいですし、ジャキジャキ感を残したいのであれば18kHz周辺でいいと思います。

筆者の場合上の画像では19kHzとあまりカットしていませんがこれに関してはのちほど書くマイクの位置に関係しています。

モデルによって異なりますが18kHzより上は人間の可聴範囲以外で聞こえないですし基本要らないのでカットしてしまった方がリアルなアンプっぽくなると思います。

IRをよりリアルにする方法:マイクの位置の選択

2つ目はIRのキャビのマイクの位置です。

多くのメーカーがIRキャビネットを販売していますが1つのキャビネットの再現でもファイルを見るとたくさん種類があります。

メーカーにもよりますが1つのキャビネットで複数のマイク、複数のポジション、キャビネットからの距離を収録しています。

それらの中からマイクを選択したり好みの位置を選択していきます。

マイクに関しては特性や好みで選んでいけばいいと思います。

ポイントはマイクの位置です。

こちらは海外のIRメーカー3Sigma Audioというメーカーの出しているIRの早見表です。

さてこの表にはキャビのスピーカーの何か所かに番号が書いてありますね。

この番号はマイクがどの位置を狙って収録したものかという物です。

これもメーカーによって異なりますが1番は中心近くでそこから2番3番4番と端にずれていくことがほとんどです。

このポジションでかなり音が変わります。

最もリアルなサウンドに近いものをご自身の環境に合わせて使用することでよりリアルなサウンドを手に入れれるわけです。

この表で言うと2や3の中心からスピーカーコーン周辺の実際のライブやレコーディングでも狙っている位置なのでその番号にまずは絞って音を決めていくといいと思います。

筆者の先ほどのIRの設定はLowカットが80Hz、Highカットが19kHzと少しHighの成分が多すぎるのではと思うかもしれませんが、マイクの位置を少し中心から離れているのでHighを極端に削らなくでもいいようにしています。

1~5番すべてを試していると時間が掛かるので購入したメーカーの表やマニュアルを参考にして最適な音を見つけてください!

IRキャビをよりリアルにする方法3:複数のIRを組み合わせて1つの音に

さて最後に紹介するテクニックは複数のIRを組み合わせて使用するという物です。

HELIXの場合になってしまいますが1つのプリセット内に2つのIRを設定することが可能です(Axe等も可能かと思います)。

これによりパラレルで2つのCABを設置することができます。

さて先ほど紹介したマイクの位置に関してですがメインで使うのはスピーカーのコーン周辺の位置だと書きました。

IRをもっている方は実際に試してもらった方がわかりやすいのですが、1番が真ん中であれば離れると音はこもっていき3Sigamの画像であれば4と5はローが強いモコモコな音になってしまいます。

しかし何故多くのIRキャビにはコーン周辺以外の音も収録しているのでしょう?

これは個人的な意見なのですが、レコーディングなどでのマイク録音を再現するためかなと思います。

複数のポジションでよりレコーディングに近い環境を再現

ライブではギターキャビネットに使うマイクは基本的に1本ですがレコーディングであれば何本でも使用できます。

例えば1本はセンター寄りのハイが強いギラギラしたサウンドでもう1本は中心から離れたローの強いモコモコしたサウンドを狙ってその2本をミックスする

こうすることでマイク1本の時よりもギターの情報量が増えてサウンドに厚みが出ます。

IRに関しても同じことが再現できます。

先ほどの画像でIRを2つ置いてあるのですが1つづつどういう設定にしているかを見ていきましょう

1つめのIRはスピーカーの真ん中を狙ている高音域の強いサウンドを選択しています。

16kHzまで削りローもあえて多めに削っています。

2つ目のIRでは1つ目より中心から離れているIRを使用しています。

少しモコモコしたサウンドなのでLowは削っていますがよりサウンド全体に太さを出すためにHighもかなり削っています。

2つのIRはLevelで最終的にバランスをとっています。

1つ目は-10デシベルで2つ目の太いサウンドは少し下げて-11デシベルに設定しています。

あくまで筆者の好みで設定したものなんで参考程度にしていただければと思います。

ポイントとしては

  • 異なるポジションのIRを使用
  • 1つはハイより1つはロー寄りなどキャラを差別化
  • 最終的に音量でバランスをとる

という感じでよりリアルなサウンドにしていくのも1つのアイディアかと思います。

自分の好みを見つけてみましょう!

さてよりリアルに近づける方法いかがだったでしょうか?

特に何かを買い足す必要はなくお手持ちのDAW、マルチエフェクター、アンプシミュレーターで気軽に試してもらえると思うので是非やってみてください。

もちろん好みなのでモノラルの方がライブっぽくて好きな方もいると思いますし、ステレオにした方がCDみたいで好き!という方もいると思います。

Lowカット、Highカットに関しても削りすぎると味気なかったりするのであえて削らないというのも1つの考え方なので好みに合わせてIRを組み合わせたりEQを駆使してみましょう!

さてここからは筆者も使用しているIRや気になっているIRを紹介していこうと思います。

そこまで高価なものではないので興味のある方は是非チェックしてみてください!

おすすめのIRキャビネット

さてここからはおすすめのIRキャビを発売しているメーカーを紹介していこうかと思います。

非常に多くのメーカーからIRが発売されているのでどれがいいかわからない、という方は是非チェックしてみてください。

ViViX/DIRTYROOM SOUNDS OF ECHO CAB PACK Vol.2

1つ目に紹介するのはG.O.D.やG5 Projectなどインスト系をメインに幅広い活動をされている青木征洋氏(@Godspeed_ViViX)が代表であるレーベルViViXから発売されている DIRTYROOM SOUNDS OF ECHO CAB PACK Vol.2 です。

5つのIRキャビネットモデルを個別もしくはコンプリートバンドルとしてすべて購入するかを選択できます。

5つのキャビネットは

  • Friedman 412 (V30、GBのハイブリッド)
  • Mesa/Booie RECTO STANDARD Over Size V30 (12インチ×4発)
  • Koch KCC412 B(Koch VG12-90スピーカー)
  • CAE 212 Cabinet(WGS Veteran30スピーカー)
  • Crews maniac sound SP212 modern  (EMINENCE Legendスピーカー)

というラインナップでモデルにもよりますが5種類のマイクを距離、位置、マイクの角度で選択可能です。

筆者もこちらのIRを現在メインで使用してますが非常に汎用性が高く様々なセッティングが可能です。

サウンドも非常にリアルでアナログ独特のバイト感やロー感が再現されているので好みの物をそのまま使用するだけでもサウンドが良くなる印象です。

またコンプリートバンドルを購入するとKemper用のリグやFractalのプリセットもついてくるのでお得ですね

ViViXではIR以外にもKempeのRIGやG.O.D.アーティストのレコーディングデータなども販売されていますのでギターの演奏だけでなくミックスに興味のある方にもおすすめかと思います!

3 Sigma Audio

2つ目に紹介するのは先ほどキャビの表でも紹介したIRメーカーである3sigma Audioです。

こちらのメーカーはIR製品をメインに販売しているメーカーでキャビネット以外にもアコースティックシミュレーターやリバーブ等のIRも取り扱っています。

その中でもIRキャビネットの取扱量は非常に豊富で様々なメーカーのアンプ、スピーカー数を選択することができま。

またKemperようのRIGやHELIX向けのプリセットとIRをセットに商品もあり迷った方にも出したい音に最適なIRを購入できるシステムがあります。

どれを買ったらいいか?など迷っている方はまずサイトに行ってみてデモのYouTube音源を聴いてみてはいかがでしょうか?

Softube/Celestion Speaker Shaper

最後に紹介するのはIRではないのですが単純に筆者が興味のあるプラグインです。

プラグインメーカーのSoftubeが最近発売したキャビネットシミュレーターの Celestion Speaker Shaper です

Celestionは楽器用のスピーカーとしてもっとも有名なメーカーの1つですがその Celestion との共同開発で生まれたのがこちらのプラグインです。

既存のモデルにもとらわれない新しい組み合わせのスピーカーを作ることができ、そのキャビネットを最大3つのマイクで収録することが可能です。

DAWでレコーディングする方にはおすすめのアイテムになると思います!

よりリアルにすることで練習も楽しくなります!

さて今回はここまでです。

練習などでアンプシミュレーターを使う方も最近は増えてきたともいます。

気軽にヘッドホンでも練習できるにはいいことなのですがせっかく練習するならいい音の方がいいですよね?

今回紹介したテクニックは何かを新しく買う必要はないですし、単純にアンプシミュレーターやマルチエフェクターの中で完結できるものなので是非試してみてください!

より良い音で練習がはかどる手助けになれば幸いです。

今回のような記事以外にもカール岡田のGuitar’s LABでは速弾きをメインにギター関連の機材がたくさんありますのでこちらから合わせて読んでいただけると嬉しいです。

それではまた次回!